2014年4月22日火曜日

アコードが北米で低調!ついに・・・「あれ」を使うのか?

  北米でのホンダの苦闘を見ていると、自動車メーカーという商売の難しさをつくづく感じます。あまりにも理想に走り過ぎてしまった過去10年の開発を、どうにか必死で軌道修正しています。これまでの北米依存構造のおかげで欧州危機の影響は限定的だったホンダですが、欧州の回復基調という時流を読んでか、中国・日本・欧州のそれぞれの市場を分析したモデルを次々に登場させて、収益を分散させてリスクヘッジを行う戦略に出ました。

  NSXのV10モデルのお蔵入り、アキュラ日本導入の白紙撤回に加え、CR-Z(スポーツHV)や燃料電池、LNG車の市販化を強引に押し進めた結果、利益が出ない車種の増加などの、経営判断の「迷い」が出た中で、北米でのドル箱車であったアコードの転落はかなり衝撃が走っているかもしれません。他のメーカーとの協調戦略を取らない「一匹狼」のホンダが単独で「燃料電池車(FCV)」や「天然ガス車(LNGV)」を展開したところで、アメリカのインフラは全体的にEVへシフトしてしまうわけです。

  なんで国土の広いアメリカで航続距離が持たないEVなのか?がホンダの大きな誤算だったようですが、いまやLCC網が全土を覆ったアメリカでは300kmの移動なら航空機が断然に有利になっています(場所にもよりますけど)。さらにシェールガス採掘によって余剰となったおかげでガソリン価格も安定(うらやましい)したためにHV車の売上も頭打ちになり、しかもフルHVを搭載したモデルがGM・フォード・ヒュンダイからも発売されており、もはやトヨタ・ホンダの独壇場ではなくなってしまったのも痛いところ。鳴りもの入りで去年発売した、アコードやフィットに搭載されている「アトキンソンサイクルのHV」もすでにフォードがラインナップ済みです。

  さて八方塞がりになってきたホンダが復活をかけるのが、フォードをパクるかのように開発した1L・1.5L・2Lのガソリンターボ。当面は欧州と日本を除くアジアに展開するモデルに搭載し、そこで一定の評価を得た上でアメリカを目指すのではないかと思われます。フォードの「エコブースト」もまったく同じ排気量の設定。しかも同じような方向性で開発がすすんでいるようで、1Lは3気筒で「1.8LのNAを代替するダウンサイジング」、1.5L(直4)は「2.4LのNAを代替するダウンサイジング」と公表されています。

  先日、フォード・フォーカスの新型が発表されましたが、やはり1.8LのNAを1.0L「エコブースト」に全面的に置き換えてきました。すでに先代から1.0Lターボが追加されてはいたのですが、今度はこれが北米でもベースエンジンになるようです。そしてホンダ・シビックも間もなく新型がアナウンスされる予定ですが、全く同様に1.0L「Vテック・ターボ」が使われる見通しです。

  さらに販売減で苦しむアコードの切り札として、こちらもフォード・フュージョンと同じく1.5L「Vテック・ターボ」が追加されるようです。「Vテック・ターボ」はどちらもレギュラー対応。オクタン価がNAに比べて3倍も影響するターボはこれまでは『ハイオク指定」が当然でしたが、ホンダとフォードのターボはレギュラーで同等の性能が出せるまで改善しました。これは新興国ではハイオクが十分に供給されないのでダウンサイジングターボが展開しにくいという理由があるのだとか。VWも東南アジアなどではターボを外した1.2Lエンジンを使っているのが実情で、その市場にレギュラー対応のターボを売りさばくのが狙いみたいです。

  日本で現在発売されている、「ハイオク」ターボ車のメリットはGT-RやWRX STIのようなスポーツニーズを除けば、ほとんどがメーカーの利益確保の為の「ふざけたシロモノ
」で、アイドリングストップや気筒休止でしたたかに燃費を稼ぐ「本末転倒」なものばかりでした。よってホンダも全く興味が無かったようですが、フォードが考案した「2クラス・ダウンサイジング」には大きく賛同しました。アコードの2.4LのNAを2Lターボにしてもほとんど意味はないけど、1.5Lターボで代替すればエンジンの重量が30kg近く減らすことができるため、十分に「効率的」だというわけです。十分に「効率的というのは、アコードHVが実現した「熱効率39%」という数値と同等の性能を発揮するポテンシャルがあるという意味だそうです。これまで既存のターボには完全に否定的な考えを持っていましたが、フォードとホンダのターボに関しては認めざるを得ないですね。


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2014年4月8日火曜日

新型シビックtypeR なんか不穏な空気が・・・

  手頃な価格でスポーティに走れるクルマがたくさんあれば、クルマ好きはとりあえず満足するだろうけど、ただでさえ需要が少ないスポーツタイプのクルマで飽和状態が続けば、お互いにシェアを食いつぶして消えていく運命。ランエボの消滅が発表されて、WRX STIもいよいよどうなっていくのか・・・。

  そんな中でホンダがシビックtypeRのコンセプトを新たに公開しました。NSX、S660といった専用設計スポーツカーの発売も控えている中で、このシビックtypeRも日本で買えるようになりそうです。最近じゃすっかりダイハツみたいな店構えになったホンダカーズでこれらスポーツカーや復活するレジェンドも販売するのはさすがに無理があるようで、高級車やスポーツカーの専門店舗を作るのだとか。

  さてホンダは以前よりtypeRに初めてターボを設定すると宣言していました。これについてはいろいろな憶測がありますが、欧州を主戦場にする以上はいつまでも高回転型NAにこだわるのは得策でないと考えたのでしょうか。「Vテック」こそがタイプRの魅力と捉えていた方々からは厳しい意見も出ているようですが、ホンダが長いブランクを超えて久々に手掛ける「ガソリンターボ」が欧州各社を上回るものになるという確信があるのかもしれません。

  デザインに関しては先代からCセグの泣き所でもある「空力」を重視したものになっていて、日本ではちょっと見慣れない風貌です。それ以上に気になるのが、どうやっても街の空気に溶け込めない、馬鹿でかいリアウイング。オプションで取り外せるかもしれませんが、外したらこんどは全体がしっくりいかない?

  VWゴルフも同じことが言えますが、かつてのシビックは今のフィットのサイズ。それでも最高速度は250km/h超を誇り、国産車だか市販モデルだかで国内最速!とか言われていた気がします。それがグローバルのCセグはどんどん巨大化し、いまでは高速安定性を誇るどっしりとした走りのクルマへと変化しました。「アウトバーンの民主化」と言われたゴルフGTIのコンセプトが、Cセグベースのスポーツカーとしては妥当なものになったようです。

  ホンダとしては市場動向を柔軟に受け止めて、メガーヌ、フォーカス、ゴルフがしのぎを削るへとtypeRを方針転換しました。「メガーヌRSに勝っても意味はない!」とまで言い放つ辛口評論家もいますが、ホンダが考えを曲げてまでターボを採用するのだから、技術的にも「よっぽどの事」があったのだろうとか考えるのが自然な気がしますが・・・。ホンダに対して評論家の風当たりは数年前から厳しいものがありますが、そのほとんどがホンダよりもスゴいクルマを作れると言わんばかりの上から目線なんですよね。

  グローバルでの競争が激しくなり幾多の自動車メーカーが消えていきましたが、日本は今も尚多くのメーカーが跋扈するのはそれぞれが優秀だから。しかもホンダはどのメーカーと大規模に提携することもなく、現在の世界ベスト10メーカーに名を連ねるポジションにいるわけです。これはどう考えてもその辺の評論家よりもホンダはクルマが良く解っているということを示していると思うのですが・・・。


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2014年3月14日金曜日

オデッセイに降り掛かる受難!?

  新型オデッセイはトヨタのヴェルファイア/アルファードのパクリだと本気で思っている評論家がとても多いようですね。従来のオデッセイのコンセプトを変えて全高を上げて高級ミニバンへ路線変更したから、即ちヴェル/アルのパクリというのはあまりに短絡的じゃ・・・。ヴェル/アルの販売が絶頂を極めたのは2010年頃で、今では勢いもそれほど無くなっているのに、今から登場なんてまったく理解できないタイミングだとは思わないの?

  ホンダがオデッセイの全高を上げた一番の理由は「今がそのタイミング」だから。ヴェル/アルみたいな国内専用車とオデッセイのようなグローバル車は、まったく別のタイミングで流行が訪れる。それは欧州のアウトバーンを始めとした世界の道路事情が変化するなかで、求められるのがグローバル車は次第に変化するけども、数十年以上も前からすでに特殊な状況であった日本の道路事情を踏まえて作られる国内専用車はそれとは基本的に無縁だからです。

  つまりトヨタが日本で作った高級ミニバンが、数年後にグローバル車のトレンドにたまたま一致して先駆け的な存在になっただけであり、世界の中ではMPVが次々と日本の高級ミニバンタイプへと切り替わる時期にタイムリーにオデッセイのFMCが行われたに過ぎないのです。日産が北米で発売しているクエストにしてもまったくオデッセイと同じ経緯で全高が上がっているし、PSAやVWが作るミニバンも年々とルーフが高いものになってきていて世界的な流行なんですよね・・・。エルグランドやヴェル/アルは確かに日本で人気がありましたが、世界で売られたわけでもありませんし、世界の流行を直接的に作ったわけでもありません。

  簡単に言うとオデッセイをヴェル/アルのパクリだと主張するのは、マセラティ・ギブリがトヨタ・クラウンのパクリだと言っている次元の話です。もしかしたらパクっているかもしれないですけど、ホンダが世界の動向を見て作ったという誠実な解説を付けてやるのが評論家の仕事ってもんじゃないですか?・・・それなのに

〜〜〜〜引用はじめ〜〜〜〜
「ホンダは人の真似をしてはいけない会社だった。それがたとえ良くても、どんなに効率的であっても、合理的に考えてそれが正しい事であっても。でも今は全く違って臆面もなく、こそこそ先輩達の目を盗んでマネをしてるように見える。」
〜〜〜〜引用終わり〜〜〜〜

オデッセイにこの言葉を投げかけて自分だけ納得しておられるようですが・・・。やっていることは全国のヴェル/アル愛好家に一生懸命に尻尾を振っているだけで、ジャーナリズム的な価値を少なくとも私は感じません。



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2014年3月7日金曜日

ホンダ・エレメント 「ホンダSUVデザインはヴェゼルだけじゃない!」

  街中で珍しいクルマを見つけると、その日は1日ウキウキした気分になりますが、昨日はホンダ・エレメントというクルマを見かけました。SUVのマイナー車種なので、存在すら知らないという有様で、ホンダのマークを見て日本車だということが判明しました。それにしても一目で素晴らしいとわかる、コミカルだけど洗練されたデザインには、売れ筋と言われるフォレスター、CX5、エクストレイルなどよりも高い質感を感じます。カイエンとかX5とか・・・いや余計なこと言うのはやめておこう。

  帰宅後に調べると日本では9年前に絶版になったことがわかり、あのクルマが不人気車だったなんて俄には信じがたいですね。現在では北米でも販売が終了しているようで、日本で復活というわけには行かないようです。希少車ということで中古車価格もかなり高止まりしていて10年落ち走行8万キロで130万円といったプレミア車になっているようです。

  他にもちょっとマイナーな日本車にふと街角で出会った時に、デザインの良さに改めて気がつくこと最近ちょくちょくありました。マンションの駐車場からレトロなサイドビームを目立たせたルノー・カングーが出て来たかな?と思ったら、トヨタ・ファンカーゴだったり。ホンダはエレメント以外にもクロスロードというコンパクトなのにやたらと存在感のあるSUVもあって、どちらも今なら結構売れたんじゃないか?という気がしないでもないです。

  2000年代のホンダ車は本当に「不遇」というしかないですね。トヨタとのHV戦争でかなりの劣勢に立たされ、日本市場ではブランド全体に「負け犬」イメージが漂っていました。ラインナップが次々と消滅して、経済オンチなジャーナリストは「ホンダは大丈夫か?」みたいなことを書いていましたが、トヨタが赤字に苦しんで、日産・スバル・マツダ・三菱が廃業寸前まで追い込まれた時も、ホンダだけは北米基盤を背景に黒字だったんですけどね。二輪があるという強みもあるわけですが・・・。

  2000年代の不遇なホンダ車のリバイバルブームが静かに起こっているのかもしれませんが、希少車のエレメントやクロスロードは多少高めでも手に入れたいと思わせるクルマです(だから高いのだろうけど)。最近のSUVの個性の無さは異常で、あるタイミングでバブルが弾けるんじゃないかと思います。まるで兄弟車のようなハリアーとエクストレイル。かつてのマークⅡとスカイラインのように意識し合ってますね。お互いにそっくりだった頃の70マークⅡと31スカイラインに普遍的価値は感じないですから、同じような結末を辿るのではという気がします。

  ハスラーはともかく、ヴェゼルもよく見れば、ちょっと小さいハリアー&エクストレイルですね。CX-5とフォレスターのいいとこ取りのデザインなんてろくなもんじゃないですよ。最近ではカムリとティアナとアコードがデザインまで似てきました。2000年代ホンダの「インスパイア」はとても風格のある個性的なスタイルだったのですが、その正統な後継車である北米アコードは安っぽい光モノの華飾が興ざめさせてくれる、まったく別のクルマになってしまいました。レジェンドも2000年代を駆け抜けた先代モデルの方が重みがあるデザインだったですし・・・。S2000もセイバーも今なお現役バリバリの好デザインです。

  創業者の本田宗一郎氏が「クルマ作りには素人の意見は無視すべき」みたいなことを言っていて、ホンダにはあまり「懐古主義」という風潮は無いそうです。よってホンダは常に時代を先取りしたデザインのクルマを投入し、10年後に一般に好デザインと認知されるものを作るという伝統があるようですが、いやあ・・・2000年代のクルマ達を改めて見ると見事に伝統が守られていますね。


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2014年2月25日火曜日

新型レジェンド 米価格60000ドル!高いな・・・

  日本に久しぶりに導入されるレジェンドHVが北米で先行販売されました。パワーユニットはもちろん1つしかなくて基本価格が60000ドル。マセラティギブリの北米価格に迫るとは・・・。スカイラインのように日本価格の方が安いみたいな設定になってくれれば、そこそこ売れそうです。ただし既に日産がV6HVでAWDで4WSでステアバイワイアで「完全武装」した新型スカイラインを480万円で出してますから、いまさら700万円と言われても完全に後の祭りになりそうです。

  新型スカイラインも新型レジェンドも高級車として求められていることを、持てる技術を惜しみなく投入して作ったことに非常に大きな価値があると思います。ちょっと違うかもしれませんが、マツダがロータリーを作ったみたいな「モノ作りの魂」を感じるんですよね。高級車はどう頑張って作ったところでメルセデスに乗る人はずっと乗るでしょうし、こだわって作ったところで台数が大きく増えるわけでもないので、やや進化がスローになっている気もします。ドイツ御三家は12気筒エンジン積めればそれで顧客は満足して買っていくので、それ以上のメカニカルな工夫が少ないです。高級車なんて所詮はブランド力であって、判りやすければいいってことでしょうけど。

  これまで日本メーカーは世界の自動車のトレンドに逆らって、低価格のクルマにハイブリッドを搭載するために多くの投資を行ってきました。充電設備などのインフラが要らないハイブリッドを可能な限り短い期間で普及させることが自動車メーカーの使命と考えていたはずです。日本発のフルハイブリッドは、低価格車でも確実に燃費効果が見込めることで、しだいに信頼を獲得し、市場を席巻している日本は特別としても海外市場にも徐々に広がっています。正直言ってフィット、アクア、プリウス、カローラとHV車が上位を独占する日本市場は世界に誇るべきことだと思うんですよ。日本人はさすがだと。

  低価格車への普及はフィットの登場で完全に一巡し、今度は上級車種にHV技術を応用した次世代高性能車の開発そして発売の時を迎えています。低価格車HVに続いて日本メーカー(大手3社だけですが)が発信するトレンドが、「安全」「静粛」「乗り心地」といった高級車の基本を突き詰めた中で進化した、新しい「HV&AWDサルーン」というジャンルなんでしょうね。AWDの高級サルーンというトレンドを作ったのはスバル・・・じゃなくてアウディでしたね。またアウディA8はレクサスを脅かすほどの驚異の静音設計で移動空間を楽しむ優雅な乗り物。こういうクルマで移動する身分になったら欲しいな。

  アウディA8は日本ではあまり人気ないみたいですね。アウディブランド全体が日本では元気ないです。Sクラスや7シリーズは私の住む東京都西部(田舎)の某駅前でもたまに見かけますが、アウディA8は見た事ないです。スペックもおとなしいですし目立たないようで、皆さんパナメーラとかに行ってしまうのでしょうね。話を元に戻すと、ホンダのレジェンドHV(アキュラRLX)は、FFベースのAWD設計なのでアウディとは北米での好敵手。しかも面白いことにブランドベースで販売台数がほぼ同じ! これはお互いにはかなり意識していて"ピリピリ"してそうですね。レジェンドHVはA6とA8のちょうど中間に位置する価格設定です。A6に満足できない客層を掴まえつつ、A8の客をお買い得感でおびき寄せるという作戦でしょうか?


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2014年2月11日火曜日

CR-ZよりもS660に惹き付けられる・・・その訳は。

  マツダロードスターの次期モデルでは1.5LのNAエンジンになるそうだというニュースを聞いて・・・。そもそもマツダはロードスターが何たるかを見失っているのでは?みたいな上から目線の想いがひとしきり噴き出す。近所のスーパーにお買い物に行ければそれでいいのか!はちょっと乱暴かもしれないけど。エンジンをダウンサイジングして燃費を良くすればそれでいいのか? そもそもロードスターって500kmとか移動するにはちょっとアレなサイズじゃないですか?

  クルマは確かに遠くまで行くための道具ですが、いざマツダロードスターを所有するとなるとイメージすることは、「遠くへ行く」ではなくて「高いところに登る」だったりします。私はアホなので高いところが大好きなんです。実際のところNCロードスターの販売はイマイチのようですが、山道を行けばかなりの確率で会えます。まあそういう使われ方をするクルマなんだというのは間違っていないようです。日本を楽しくドライブするためには、結局は誰も行こうとしない道を登るのが一番だと思うし、ヒルクライムを楽しめる公道車としてのロードスターにこそ存在価値があるのだと思います。

  ホンダCR-Zが大きなインパクトを残すことが出来なかった理由もこの辺にあるのではと思っています。あの小振りな車体ではいくら燃費を伸ばしても、長距離用途には向かないわけです。だったらヒルクライムさせるクルマに仕上げるしかないと思うのですが、HVを積んでしまっています。山岳路のアップダウンを走れば回生ブレーキで充電できるという考え方もあるでしょうけど、バッテリーの分だけ車重が増えるデメリットと、まだまだ初期段階のホンダのHVだということを考えると、あえてCR-Zを「登る」クルマに指名する人は現状ではほとんどいないと思います。当然ながらあまり見かけません。

  日本の小型スポーツは坂を登らないとなかなか特別な存在感を出せないです。マツダロードスターのコンセプトをパクっていながらもメルセデスSLKやBMW Z4はそのヘビーな車重が仇となってヒルクライムは苦手です。ポルシェやロータスそしてアウディTTなどが、日本の峠道でも愛好されているようですが、山登るためだけにに600万円や800万円はちょっとバカバカしい気もします。

  昨今の日本車はというと、セダンはどんどんサイズが大きくなり、コンパクトカーは燃費のためにパワーが出にくくなって、山道を行くのに適した日本車が減っているのも事実です。電車とかバスとか通っていない山間部へ到達する手段としてクルマの価値があるはずなのに、その性能を持ち合わせていないとなると、自動車の未来はより閉ざされたものになっていくと思います。社会の模範として環境だの社会性だのを盛んに訴えている自動車会社ですが、やっている事は過疎化が進む地域の存在を切り捨てているといってもいいかもしれません。

  そんなに山ばっかり行くか?と言われると、人それぞれだと思いますが、私はいまのクルマで楽しんできた約23000kmのドライブで印象深いものはほとんどが山道です。日光、赤城、榛名、妙義、碓氷、雁坂、ヤビツ、箱根・・・。クルマの醍醐味を感じられるスポットにはことごとく行ってきまし、やはりどこ行っても満足できます。金曜日に仕事を終えて夜景を見にいくだけで日々の疲れを忘れさせてくれる。これだけでクルマを所有していて良かったなと思わせてくれます。

  1.5Lになるマツダロードスターや現行のCR-Zで雁坂峠に楽しく登れるのか? マツダのテストコースがあるなだらかな中国山地とは全く違いますし、ホンダは関東山地の麓と言える寄居や狭山に拠点を構えているのだから、いくらでもテストできるのでは? さてホンダが今年発売する予定のS660は軽自動車ながらミッドシップで軽量なボディを生かしてヒルクライムもなかなか期待できる仕上がりになるかなと期待してしまいますがどうでしょうか?

  
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2014年1月31日金曜日

レジェンド復活 北米でHVのプロト(日本発売モデル)登場

  トヨタ、日産、ホンダを見ていると、もはや会社が大き過ぎて気の利いたクルマが作れないのでは? そんな余計な心配をしてしまう。それほどに日本メーカーはまともに高級車が作れなく(作らなく)なった・・・。バブル期ならばジャガーやベントレーに伍するようなゴテゴテの素人にも解りやすい高級車をマツダや三菱でも作っていたくらいなのに。バブル以降は堂々とそういう仕事をやってのける人がもうほとんどいないのかもしれない。とくにトヨタ、日産、ホンダの安定した3社は、役員が失敗しそうなクルマは発売させないという弊害が常にあるらしい。社長が推進したGT-Rや86の例もあるにはあるが・・・。

  おかげで日本の高級車市場には何とも言えない「ぬる〜い」空気が10年以上に渡って吹き溜まっている。新車で700万円くらいするのに、何も感動を呼ばない不思議なクルマがなぜかそこそこ売れる。案の定ネットでググればまともなサイトでもオーナー様やそれ以外の人々から批判の嵐。700万円で新車買ってここまでムカつく事ばかりだったら、そりゃクルマなんていらんってなるよね・・・。1900kgのクルマを直4にしたからって燃費なんてたいして良くなるはずないのに、完全にお客をダマした体のいいコストダウンに走っている。欧州の基準では直6はもう無理とか1年くらい前にBMW通で知られるジャーナリストが堂々と「間違ったこと」を書いていたが・・・、ジャーナリストもグルだ。そのくせ直4モデルを裏でメチャクチャバカにしているのが、最近の直6復活でバレバレになる・・・。

  モラルもなにも無い欧州車に比べて、トヨタや日産は常に高級車の矜持を持っていた。おそらく開発を担当している人々も相当なプライドを持っているはず。日産のエンジニアは今もスカイラインとフーガの将来的な直4ターボ化に強く反対しているそうだが、おそらく根拠は「日産のプライド」だと思う。BMWやメルセデスの直4ターボを有り難がる日本人なんて日産の客ではない。本物が解る客だけ乗ってくれればそれでいいと思っている。高級セダンなら「ターボじゃなくてハイブリッド」これは世界中のメーカーですでに認識されていることだ。それでもクルマに無関心な日本人には見た目が同じならどうでもいいことかもしれない。

  そんな皮肉な状況の中、ホンダは日本市場で静観の構えを見せてきた。レクサスに続いてアキュラを日本に導入する計画があったが、ハイブリッド化の遅れなど日本で売れる要素が見当たらないこともあり、リーマンショックを表向きの理由として撤回した。ホンダの大企業病が見えた瞬間だった。ホンダの決断はあまりに目先の利益に囚われていたように思う。レクサスは日本導入を積極的に行った結果、日本の使用環境をクリアしつつドイツ車と戦うことで、批判を浴びつつも着実な進化を遂げた。その戦果は確実に北米での商品力を押し上げ、先行するアキュラをいとも簡単に抜き去ることに成功した。

  レクサスの北米での成功(2005年頃〜)と同期してアキュラと本体のホンダは利益こそは確保しつつも販売台数で伸び悩んだ。ホンダファンはヒュンダイによる過度のライセンス侵害(ホンディ!)を理由にしたがるが、この時期のホンダは決定的にアイディアが不足していたのは間違いない。ソニーが大不振に陥り、大卒文系の無能で世間知らずの経営陣が世界的な日本メーカーを内部から蝕んでいると批判されるようになった頃だが、ホンダもこの代表的な例に当てはまっていたようだ。ホンダに限らず、開発費が嵩む複雑なクルマの良し悪しなんてクルマ好きにしか解らないから売れない!頑張って作ったクルマほど大して売れない!がこの頃の自動車会社内部の合い言葉になっていたようだ。

  ヒュンダイと比べてなにも変わらないクルマを大量に生産し、ヒュンダイと価格競争を繰り広げる。これは北米でのトヨタ・日産・ホンダの基本的な方針なのは間違いない。カンバン方式など効率化のノウハウで日本メーカーは優位に立っていたが、今じゃアメリカも韓国も日本メーカーをよく研究して同様の手法を使っている。鉄鋼メーカーとの強固なパートナーシップでいまもある程度は優位に立っているが、鉄鋼メーカー自体が中国や韓国に押されて、低質の鋼材価格では勝負できなくなってきている。

  ゆえにトヨタはHVとFCVの開発に巨額の投資を行って、常に時代の先頭を行こうとしている。クルマファンの中にはトヨタはヤマハ任せで高性能ガソリンエンジンをまともに開発しようとしないと批判する人がいるが、背に腹は代えられないのが実情だ。HVのルマンならともかくF1参戦なんて現状のレギュレーションではトヨタにとってなんのメリットもない。

  さてそんな日本メーカーを取り巻く現状で、ホンダのこれまで雌伏の時を過ごしてきたようだ。最近のホンダ車のメカニズムは明らかに他社とは一線を画す、誰の目にも高性能なものばかりだ。その次元があまりにも高過ぎて技術系雑誌でもそのポテンシャルの全容を安易に説明しようとはしない。今後ホンダは高級志向の市場(日本など)では3種類のHVをクルマの車格に合わせて展開し、新興国市場では3種類のVtecターボ(1L, 1.5L, 2L)をこれまたサイズに合わせて展開する方針だ。この6種類のパワーユニットが全てライバルから頭1つ以上抜けた存在の高効率性を持ち合わせている。やはりホンダは素晴らしい!

  日本でも発売される予定の最上級のHVユニットを使った次期レジェンドが完成したようで、北米では試乗レビューが次々と出てきている。当初はNSXと同じユニットということで1000万円超という予想もあったが、システム馬力は377ps(NSXは500ps以上)なので、本体価格は700万円以下に抑えてくる公算が高い。ライバルのBMW5アクティブHV(900万)よりも「高出力」「低燃費」「AWDによる安定性」といかにもホンダらしいスペックを発揮しそうだ。やっとカーエンスーが全面的に支持できるクルマがホンダの日本市場ラインナップに帰ってくる。


「アキュラRLX SH-AWD試乗動画」

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