2013年9月5日木曜日

「セダン愛」ならアコードHV1台だけで終わらせないで・・・

  ホンダの3ナンバー車の販売台数は急速に落ち込んでいて、現在約2500台/月になっています。これはなんとスバルやマツダの1/4程度の水準です。それでもスバル・マツダよりも利益が出せている素晴らしいカラクリの経営となっていますが、やはり花形車種の減少でブランドイメージの低下は現実に起こっているようです。

  日本国内の販売構造の変容はともかく、ホンダは今後段階的に中型モデルの刷新を図って、世界販売においては600万台まで増強する中期目標が公表されています。中型モデルが主軸のホンダではこれらの部品共通化で生産性の向上を目指すプランが盛り込まれてて、まるでVWの「MQBプラットホーム」を真似たような企画なのかなと推測しています。いまや1000万台級のメガメーカー(トヨタ・GM・VW)は小型車の増強で台数の底上げを図っていて、追撃するホンダも600万台越えとなると、中型車だけでは達成は困難で、新興市場にオートバイとセットでさらなる拠点を投下していくことになりそうです。


  主力のアコードとフィットのFMCが既に行われました。その内容は「石橋を叩いて渡る」ような理詰めの常識的なマーケティングを前面に押し出したものになっています。どちらもトヨタのヒット車であるカムリHVとアクアをそれぞれ強く意識しています。マーケットも熟知した上での「後だしジャンケン」で、合理的に燃費性能できっちり上回っているのだから売れないはずはないでしょう。

  それでもはたしてカムリHVやアクアのデビュー時に市場が感じたインパクトを超えられるのかと言われればやや疑問が残ります。カムリHVもアクアも周囲の予想を良い意味で裏切り、トヨタらしからぬ前衛的な好デザインで登場したことがスマッシュヒットにつながりました。もちろん燃費も素晴らしいですが、それ以上にデザインに唸った人々が多かったように思います。そしてこの2台のライバルとして、ホンダの新型車が登場してくるわけですが、アコードHVとフィットのデザインの印象はどうも訴求性が弱く感じてしまいます。

  それでもアコードHVもフィットも競争力が高く、しぶとく国内シェアを切り取っていくだろうことは予想できます。ただこのままだとホンダの独創性は一体どこへ行ったのか?という一抹の不安も同時に感じます。ホンダの首脳部もこのことには既に危機感を持っているようで、日本で発売するかどうかも不明なNSXやレジェンドの情報を発売の3年以上前から積極的にリークをし続けていたりします。どうやらNSXもレジェンドも1000万円クラスのトップエンドカーになってしまうようですが・・・。

  日本で発売されるホンダのラインナップでミドルクラスはCR-Vを除くと、アコードHVのみという設定になっています。これははいくらなんでも極端だと感じてしまいます。いくらハイブリッドが人気だからといっても、MAX燃費が60km/h走行時に発揮され、90km/hではガソリンエンジンよりも燃費が悪いと言われるハイブリッドを避ける傾向もまた顕著に見られます。常識的に考えてバッテリーが稼働しない速度帯(90km/h以上)ではバッテリーの分だけ余計に重いだけのクルマです。高速道路網の整備が進む中、まったくの時代錯誤ではという意見もあるほどです。

  ホンダは世界販売では中型3車種(アコード・シビック・CR-V)をこれからも軸にすることは変わっていません。この3台が現在のアメリカの車種別販売トップ10以内にいずれもランクインしているのは確かに驚異的です。アメリカにおいては最強のベストセラーカー・メーカーとしての地位を得ています。しかしそのラインナップの「美味しい」部分をなぜか日本に入れてくれません。シビックの全グレードとアコードのガソリンモデルが無いわけです。当然ながらブランドのイメージも日本とアメリカでは大きく変わったものになってしまいます。

  確かに直6のNAを消滅させたBMWもクソと言えばクソなのですが、ホンダの日本市場でのやり方はその次元を超えた強烈なまでの違和感があります。余計なお世話かもしれませんが、やはりミドルクラスのセダン/クーペあるいはスポーツカーでベストバイなガソリンモデルを置いておいてほしいというのが、クルマ好きの人々の率直な想いです。しかし現行オディッセイのFMCでさらに運転の楽しさを追求したモデルが減少する見通しです。

  どうやらホンダもそのことは重々承知しているようで、急遽S2000の後継となるスポーツカーの導入を検討しているとのことです。もちろん実現すればもちろん素晴らしいことです。かつての「ホンダ」のネームバリューだけで、HVスポーツカーであるCR-Zが発売まもなく大ヒットを遂げてしまった性もあり、ホンダの日本における基本戦略はだいぶブれたものになりました。その後CR-Zは一気に失速してしまいました。よってホンダもある程度は基本戦略の練り直しを行っていると思います。再び300万円クラスのHVスポーツを作ってももはや何の反響もないでしょう。ホンダの早期の立ち直りを期待したいと思います。



  

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