2014年3月14日金曜日

オデッセイに降り掛かる受難!?

  新型オデッセイはトヨタのヴェルファイア/アルファードのパクリだと本気で思っている評論家がとても多いようですね。従来のオデッセイのコンセプトを変えて全高を上げて高級ミニバンへ路線変更したから、即ちヴェル/アルのパクリというのはあまりに短絡的じゃ・・・。ヴェル/アルの販売が絶頂を極めたのは2010年頃で、今では勢いもそれほど無くなっているのに、今から登場なんてまったく理解できないタイミングだとは思わないの?

  ホンダがオデッセイの全高を上げた一番の理由は「今がそのタイミング」だから。ヴェル/アルみたいな国内専用車とオデッセイのようなグローバル車は、まったく別のタイミングで流行が訪れる。それは欧州のアウトバーンを始めとした世界の道路事情が変化するなかで、求められるのがグローバル車は次第に変化するけども、数十年以上も前からすでに特殊な状況であった日本の道路事情を踏まえて作られる国内専用車はそれとは基本的に無縁だからです。

  つまりトヨタが日本で作った高級ミニバンが、数年後にグローバル車のトレンドにたまたま一致して先駆け的な存在になっただけであり、世界の中ではMPVが次々と日本の高級ミニバンタイプへと切り替わる時期にタイムリーにオデッセイのFMCが行われたに過ぎないのです。日産が北米で発売しているクエストにしてもまったくオデッセイと同じ経緯で全高が上がっているし、PSAやVWが作るミニバンも年々とルーフが高いものになってきていて世界的な流行なんですよね・・・。エルグランドやヴェル/アルは確かに日本で人気がありましたが、世界で売られたわけでもありませんし、世界の流行を直接的に作ったわけでもありません。

  簡単に言うとオデッセイをヴェル/アルのパクリだと主張するのは、マセラティ・ギブリがトヨタ・クラウンのパクリだと言っている次元の話です。もしかしたらパクっているかもしれないですけど、ホンダが世界の動向を見て作ったという誠実な解説を付けてやるのが評論家の仕事ってもんじゃないですか?・・・それなのに

〜〜〜〜引用はじめ〜〜〜〜
「ホンダは人の真似をしてはいけない会社だった。それがたとえ良くても、どんなに効率的であっても、合理的に考えてそれが正しい事であっても。でも今は全く違って臆面もなく、こそこそ先輩達の目を盗んでマネをしてるように見える。」
〜〜〜〜引用終わり〜〜〜〜

オデッセイにこの言葉を投げかけて自分だけ納得しておられるようですが・・・。やっていることは全国のヴェル/アル愛好家に一生懸命に尻尾を振っているだけで、ジャーナリズム的な価値を少なくとも私は感じません。



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2014年3月7日金曜日

ホンダ・エレメント 「ホンダSUVデザインはヴェゼルだけじゃない!」

  街中で珍しいクルマを見つけると、その日は1日ウキウキした気分になりますが、昨日はホンダ・エレメントというクルマを見かけました。SUVのマイナー車種なので、存在すら知らないという有様で、ホンダのマークを見て日本車だということが判明しました。それにしても一目で素晴らしいとわかる、コミカルだけど洗練されたデザインには、売れ筋と言われるフォレスター、CX5、エクストレイルなどよりも高い質感を感じます。カイエンとかX5とか・・・いや余計なこと言うのはやめておこう。

  帰宅後に調べると日本では9年前に絶版になったことがわかり、あのクルマが不人気車だったなんて俄には信じがたいですね。現在では北米でも販売が終了しているようで、日本で復活というわけには行かないようです。希少車ということで中古車価格もかなり高止まりしていて10年落ち走行8万キロで130万円といったプレミア車になっているようです。

  他にもちょっとマイナーな日本車にふと街角で出会った時に、デザインの良さに改めて気がつくこと最近ちょくちょくありました。マンションの駐車場からレトロなサイドビームを目立たせたルノー・カングーが出て来たかな?と思ったら、トヨタ・ファンカーゴだったり。ホンダはエレメント以外にもクロスロードというコンパクトなのにやたらと存在感のあるSUVもあって、どちらも今なら結構売れたんじゃないか?という気がしないでもないです。

  2000年代のホンダ車は本当に「不遇」というしかないですね。トヨタとのHV戦争でかなりの劣勢に立たされ、日本市場ではブランド全体に「負け犬」イメージが漂っていました。ラインナップが次々と消滅して、経済オンチなジャーナリストは「ホンダは大丈夫か?」みたいなことを書いていましたが、トヨタが赤字に苦しんで、日産・スバル・マツダ・三菱が廃業寸前まで追い込まれた時も、ホンダだけは北米基盤を背景に黒字だったんですけどね。二輪があるという強みもあるわけですが・・・。

  2000年代の不遇なホンダ車のリバイバルブームが静かに起こっているのかもしれませんが、希少車のエレメントやクロスロードは多少高めでも手に入れたいと思わせるクルマです(だから高いのだろうけど)。最近のSUVの個性の無さは異常で、あるタイミングでバブルが弾けるんじゃないかと思います。まるで兄弟車のようなハリアーとエクストレイル。かつてのマークⅡとスカイラインのように意識し合ってますね。お互いにそっくりだった頃の70マークⅡと31スカイラインに普遍的価値は感じないですから、同じような結末を辿るのではという気がします。

  ハスラーはともかく、ヴェゼルもよく見れば、ちょっと小さいハリアー&エクストレイルですね。CX-5とフォレスターのいいとこ取りのデザインなんてろくなもんじゃないですよ。最近ではカムリとティアナとアコードがデザインまで似てきました。2000年代ホンダの「インスパイア」はとても風格のある個性的なスタイルだったのですが、その正統な後継車である北米アコードは安っぽい光モノの華飾が興ざめさせてくれる、まったく別のクルマになってしまいました。レジェンドも2000年代を駆け抜けた先代モデルの方が重みがあるデザインだったですし・・・。S2000もセイバーも今なお現役バリバリの好デザインです。

  創業者の本田宗一郎氏が「クルマ作りには素人の意見は無視すべき」みたいなことを言っていて、ホンダにはあまり「懐古主義」という風潮は無いそうです。よってホンダは常に時代を先取りしたデザインのクルマを投入し、10年後に一般に好デザインと認知されるものを作るという伝統があるようですが、いやあ・・・2000年代のクルマ達を改めて見ると見事に伝統が守られていますね。


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