2014年4月22日火曜日

アコードが北米で低調!ついに・・・「あれ」を使うのか?

  北米でのホンダの苦闘を見ていると、自動車メーカーという商売の難しさをつくづく感じます。あまりにも理想に走り過ぎてしまった過去10年の開発を、どうにか必死で軌道修正しています。これまでの北米依存構造のおかげで欧州危機の影響は限定的だったホンダですが、欧州の回復基調という時流を読んでか、中国・日本・欧州のそれぞれの市場を分析したモデルを次々に登場させて、収益を分散させてリスクヘッジを行う戦略に出ました。

  NSXのV10モデルのお蔵入り、アキュラ日本導入の白紙撤回に加え、CR-Z(スポーツHV)や燃料電池、LNG車の市販化を強引に押し進めた結果、利益が出ない車種の増加などの、経営判断の「迷い」が出た中で、北米でのドル箱車であったアコードの転落はかなり衝撃が走っているかもしれません。他のメーカーとの協調戦略を取らない「一匹狼」のホンダが単独で「燃料電池車(FCV)」や「天然ガス車(LNGV)」を展開したところで、アメリカのインフラは全体的にEVへシフトしてしまうわけです。

  なんで国土の広いアメリカで航続距離が持たないEVなのか?がホンダの大きな誤算だったようですが、いまやLCC網が全土を覆ったアメリカでは300kmの移動なら航空機が断然に有利になっています(場所にもよりますけど)。さらにシェールガス採掘によって余剰となったおかげでガソリン価格も安定(うらやましい)したためにHV車の売上も頭打ちになり、しかもフルHVを搭載したモデルがGM・フォード・ヒュンダイからも発売されており、もはやトヨタ・ホンダの独壇場ではなくなってしまったのも痛いところ。鳴りもの入りで去年発売した、アコードやフィットに搭載されている「アトキンソンサイクルのHV」もすでにフォードがラインナップ済みです。

  さて八方塞がりになってきたホンダが復活をかけるのが、フォードをパクるかのように開発した1L・1.5L・2Lのガソリンターボ。当面は欧州と日本を除くアジアに展開するモデルに搭載し、そこで一定の評価を得た上でアメリカを目指すのではないかと思われます。フォードの「エコブースト」もまったく同じ排気量の設定。しかも同じような方向性で開発がすすんでいるようで、1Lは3気筒で「1.8LのNAを代替するダウンサイジング」、1.5L(直4)は「2.4LのNAを代替するダウンサイジング」と公表されています。

  先日、フォード・フォーカスの新型が発表されましたが、やはり1.8LのNAを1.0L「エコブースト」に全面的に置き換えてきました。すでに先代から1.0Lターボが追加されてはいたのですが、今度はこれが北米でもベースエンジンになるようです。そしてホンダ・シビックも間もなく新型がアナウンスされる予定ですが、全く同様に1.0L「Vテック・ターボ」が使われる見通しです。

  さらに販売減で苦しむアコードの切り札として、こちらもフォード・フュージョンと同じく1.5L「Vテック・ターボ」が追加されるようです。「Vテック・ターボ」はどちらもレギュラー対応。オクタン価がNAに比べて3倍も影響するターボはこれまでは『ハイオク指定」が当然でしたが、ホンダとフォードのターボはレギュラーで同等の性能が出せるまで改善しました。これは新興国ではハイオクが十分に供給されないのでダウンサイジングターボが展開しにくいという理由があるのだとか。VWも東南アジアなどではターボを外した1.2Lエンジンを使っているのが実情で、その市場にレギュラー対応のターボを売りさばくのが狙いみたいです。

  日本で現在発売されている、「ハイオク」ターボ車のメリットはGT-RやWRX STIのようなスポーツニーズを除けば、ほとんどがメーカーの利益確保の為の「ふざけたシロモノ
」で、アイドリングストップや気筒休止でしたたかに燃費を稼ぐ「本末転倒」なものばかりでした。よってホンダも全く興味が無かったようですが、フォードが考案した「2クラス・ダウンサイジング」には大きく賛同しました。アコードの2.4LのNAを2Lターボにしてもほとんど意味はないけど、1.5Lターボで代替すればエンジンの重量が30kg近く減らすことができるため、十分に「効率的」だというわけです。十分に「効率的というのは、アコードHVが実現した「熱効率39%」という数値と同等の性能を発揮するポテンシャルがあるという意味だそうです。これまで既存のターボには完全に否定的な考えを持っていましたが、フォードとホンダのターボに関しては認めざるを得ないですね。


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2014年4月8日火曜日

新型シビックtypeR なんか不穏な空気が・・・

  手頃な価格でスポーティに走れるクルマがたくさんあれば、クルマ好きはとりあえず満足するだろうけど、ただでさえ需要が少ないスポーツタイプのクルマで飽和状態が続けば、お互いにシェアを食いつぶして消えていく運命。ランエボの消滅が発表されて、WRX STIもいよいよどうなっていくのか・・・。

  そんな中でホンダがシビックtypeRのコンセプトを新たに公開しました。NSX、S660といった専用設計スポーツカーの発売も控えている中で、このシビックtypeRも日本で買えるようになりそうです。最近じゃすっかりダイハツみたいな店構えになったホンダカーズでこれらスポーツカーや復活するレジェンドも販売するのはさすがに無理があるようで、高級車やスポーツカーの専門店舗を作るのだとか。

  さてホンダは以前よりtypeRに初めてターボを設定すると宣言していました。これについてはいろいろな憶測がありますが、欧州を主戦場にする以上はいつまでも高回転型NAにこだわるのは得策でないと考えたのでしょうか。「Vテック」こそがタイプRの魅力と捉えていた方々からは厳しい意見も出ているようですが、ホンダが長いブランクを超えて久々に手掛ける「ガソリンターボ」が欧州各社を上回るものになるという確信があるのかもしれません。

  デザインに関しては先代からCセグの泣き所でもある「空力」を重視したものになっていて、日本ではちょっと見慣れない風貌です。それ以上に気になるのが、どうやっても街の空気に溶け込めない、馬鹿でかいリアウイング。オプションで取り外せるかもしれませんが、外したらこんどは全体がしっくりいかない?

  VWゴルフも同じことが言えますが、かつてのシビックは今のフィットのサイズ。それでも最高速度は250km/h超を誇り、国産車だか市販モデルだかで国内最速!とか言われていた気がします。それがグローバルのCセグはどんどん巨大化し、いまでは高速安定性を誇るどっしりとした走りのクルマへと変化しました。「アウトバーンの民主化」と言われたゴルフGTIのコンセプトが、Cセグベースのスポーツカーとしては妥当なものになったようです。

  ホンダとしては市場動向を柔軟に受け止めて、メガーヌ、フォーカス、ゴルフがしのぎを削るへとtypeRを方針転換しました。「メガーヌRSに勝っても意味はない!」とまで言い放つ辛口評論家もいますが、ホンダが考えを曲げてまでターボを採用するのだから、技術的にも「よっぽどの事」があったのだろうとか考えるのが自然な気がしますが・・・。ホンダに対して評論家の風当たりは数年前から厳しいものがありますが、そのほとんどがホンダよりもスゴいクルマを作れると言わんばかりの上から目線なんですよね。

  グローバルでの競争が激しくなり幾多の自動車メーカーが消えていきましたが、日本は今も尚多くのメーカーが跋扈するのはそれぞれが優秀だから。しかもホンダはどのメーカーと大規模に提携することもなく、現在の世界ベスト10メーカーに名を連ねるポジションにいるわけです。これはどう考えてもその辺の評論家よりもホンダはクルマが良く解っているということを示していると思うのですが・・・。


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